「あれだけ勉強したのに、点数が下がった」――夏休み明けの模試結果を見て、言葉を失った保護者の方も多いのではないでしょうか。
2学期に入ると模試の結果がそのまま志望校選びや内申点にも関わってくるため、つい焦りが顔に出てしまいがちです。ですが、この時期に成績が伸び悩むのは、実は珍しいことではありません。
この記事では、模試の結果が悪かったときに保護者がかけるべき言葉、避けたいNGな声かけとその言い換え、そして直前期に向けて親子の関係を整えるためのヒントをまとめました。
夏休み明けに成績が下がるのは「よくあること」と知る
夏休みは、それまでの範囲を総復習する時期です。模試も夏までの学習内容を「面」で問う内容になりやすく、今まで見えていなかった穴が一時的に可視化されるのは、むしろ自然な現象だと言われています。
もちろん、結果を軽視していいという意味ではありません。ただ、「この一回の模試だけで、この子の合否が決まるわけではない」という前提に、まずは保護者自身が立ち返ることが、次の一歩につながります。
模試の結果を見た直後、多くの保護者がやってしまいがちなのが、その場での「原因分析」です。振り返り自体は大切ですが、子どもの心がまだ結果に動揺している段階でいきなり分析を始めると、「責められている」としか感じられないことが少なくないようです。
最初の一言は、分析ではなく「受け止め」から。「ここまでよく頑張ったね」「悔しいよね」と気持ちに寄り添う一言を挟むだけで、そのあとの会話の空気は変わってきます。分析は、一晩置いてからでも遅くありません。
NGな声かけ3パターンと言い換え例
励ましているつもりでも、受験生には逆効果に響いてしまう言葉があります。よくある3つのパターンと、言い換えの方向性を整理しました。
| NGパターン | なぜ響かないか | 言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| 「もっと頑張って」 | すでに頑張っている子には「まだ足りない」という否定に聞こえる | 「ここまでの頑張り、ちゃんと見てるよ」+ 次の一歩を一緒に決める |
| 「なんでこんな点数なの」 | 原因追及が「詰問」に変わり、心を閉ざさせる | 「どこが難しかった?一緒に見てみようか」 |
| 「〇〇君(さん)は内申取れてるのに」 | 比較は自己肯定感を直接傷つける | 比較をやめ、「前回の自分」との差だけを見る |
「もっと頑張って」が逆効果になりやすいのは、子どもの側からすると、すでに自分なりに全力を出しているつもりのことが多いからです。そこに「もっと」を重ねられると、「今のままでは足りない」というメッセージとして受け取られてしまいます。大切なのは、励ましの言葉数を増やすことよりも、「今のあなたを見ている」という事実を伝えることだと感じています。
子どもが話さなくなったときの見守り方
模試の結果が悪かった日を境に、塾や学校の話をしなくなることがあります。「今日どうだった?」と聞いても「別に」しか返ってこない――この状態になると、つい根掘り葉掘り聞き出したくなるものです。
ただ、この時期の「話さない」は、必ずしも「困っている」サインとは限りません。自分の中で気持ちを整理している途中であったり、単純に「今は触れられたくない」という自己防衛であったりすることも多いようです。無理に聞き出そうとすると、かえって「詮索されている」と感じさせ、余計に殻に閉じこもらせてしまうことがあります。
見守るときのポイントは、「聞き出す」より「開いている扉を見せておく」ことです。「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えたうえで、それ以上は追わない。代わりに、受験と関係のない普段の会話を続けることのほうが、子どもにとっては安心材料になります。
もちろん、食欲がない、眠れていない、極端に元気がないといった心身のサインが出ている場合は話が別です。そのときは学校や塾の先生、場合によっては専門家への相談も選択肢に入れてください。
親のメンタルを整える3分習慣
正直なところ、成績が下がったときに一番揺れるのは、本人よりも保護者自身かもしれません。「このままで大丈夫だろうか」「志望校を下げないといけないのでは」――そんな不安が頭の中を巡るのは、決して珍しいことではありません。
ここで意識したいのが、保護者自身のイライラや不安は、思っている以上に子どもに伝わってしまうという点です。言葉にしなくても、表情や声のトーン、ため息の数で、子どもは敏感に察知します。だからこそ、子どもと向き合う前に、自分の状態を整える3分だけの時間を挟むことをおすすめします。
- 深呼吸を3回して、結果を見た直後の「反射的な一言」を飲み込む
- 「今、自分は不安になっている」と、感情を一度言葉にして認める
- 子どもに話しかける前に、「何を伝えたいか」を一つだけ決めておく
この3分は、子どものためであると同時に、保護者自身を守るための時間でもあります。完璧な声かけができる親などいません。揺れながらも、その都度立て直せることのほうが、ずっと大切です。
2学期以降、伸びる子の家庭に共通すること
これまで多くの受験生を見てきて感じるのは、2学期以降に伸びていく子の家庭には、いくつか共通点があるということです。特別な教材や、特別な塾に通っているからではありません。
まず、結果よりもプロセスに目を向けていること。点数の上下に一喜一憂するのではなく、「今回は計算ミスが減ったね」というような、小さな変化に気づいて言葉にする習慣があります。次に、保護者が「監督者」ではなく「伴走者」として横に立っていること。指示や管理ではなく、「一緒に考える」「一緒に困る」というスタンスが、子どもの安心感につながっているように感じます。
そしてもう一つ、保護者自身が「模試の結果=子どもの価値」ではないと、腹の底からわかっていること。これは口で言うほど簡単ではありませんが、その姿勢は必ず子どもに伝わります。
内申点が固まっていくこの時期は、長い受験期の中でも特に親子の関係が試される時期です。でも裏を返せば、ここでの関わり方一つで、子どもの伸びしろは大きく変わっていく時期でもあります。焦らなくて大丈夫です。今日からできる小さな声かけの積み重ねが、きっと力になっていきます。

