「来年、うちの子が受験なんだけど、内申書の様式が変わるらしい……」そんな話を保護者会やSNSで見かけて、落ち着かない気持ちになっていませんか。令和8年度(2026年度)入試から、公立高校の調査書(内申書)の様式を見直す都道府県が増えています。ただ、ニュースやSNSの投稿は断片的な情報が多く、「結局、自分の子には関係あるの?」というところがぼんやりしたまま不安だけが膨らんでいる方も多いはずです。今回は、様式変更の全体像から、公立・私立での内申点の扱いの違い、不登校・欠席が多いお子さんの場合の注意点まで、中学生本人の高校受験という視点で整理してみます。
そもそも何が変わるの?「調査書の様式変更」の全体像
まず押さえておきたいのは、文部科学省が全国一律で調査書のフォーマットを刷新したわけではないという点です。調査書の基本的な記載項目や枠組みは大学入試向けの実施要項をベースにしていますが、公立高校入試の調査書をどう運用するかは、各都道府県の教育委員会が自分たちの実施要項・実施大綱の中で判断しています。つまり「令和8年度から全国で内申書が変わる」のではなく、「一部の都道府県が令和8年度(またはそれ以降)から運用を見直す」というのが正確な言い方です。
最近目立つ変更の代表例が「出欠の記録」欄の削除です。不登校の小中学生が全国で35万人を超え過去最多を更新し続けていることを受け、文部科学省は以前から「出席日数だけで進路の可能性を狭めるべきではない」という方向性を示してきました。これを踏まえて、欠席日数や健康状況を記載する欄を調査書からなくす自治体が年々増えているのです。
すでに東京都・神奈川県・大阪府・奈良県・広島県などは出欠の記録欄を廃止済みで、長野県・新潟県・兵庫県・滋賀県なども2025年度入試から追随しました。そして2026年度(令和8年度)入試からは、千葉県・京都府・宮城県・青森県・岩手県・山形県などで同様の変更が予定されています。たとえば千葉県教育委員会は、調査書から出欠の記録・総授業時数・行動の記録(3年)・総合所見の4項目を削減すると発表しています。一方、埼玉県では2026年度入試から部活動の記入箇所が「特別活動等の記録」から「その他」の項目へ移り、各高校で選抜基準の見直しが行われる予定です。
このように、変更の内容も時期も都道府県によってかなり違います。「出欠欄がなくなる県」「記入箇所だけ移動する県」「当面変更しない県」が混在しているのが2026年度入試の実際の姿だと捉えておくと、ニュースを見たときの混乱が減ります。
うちの地域は対象? 確認すべき場所はここ
地域差が大きいテーマなので、ニュースサイトやSNSの情報だけで判断するのは避けたいところです。確認の手順はシンプルです。
- お子さんが受験する都道府県の教育委員会公式サイトで、「公立高等学校入学者選抜実施要項」または「実施大綱」を検索する(例年、受験学年になる前年の春から夏ごろに公表されます)
- すでに公表されている場合は、調査書の様式(別紙サンプル)に出欠欄や行動の記録欄があるかどうかを見る
- 公表前、あるいは資料を読んでもよくわからない場合は、中学校の進路指導の先生に「今年の調査書の様式、去年から変わりますか」と直接聞く
塾や予備校の入試情報サイトは読みやすくまとまっていて便利ですが、更新が追いついていなかったり、近隣県の情報と混同されていたりすることもあります。最終的な判断材料は、必ず教育委員会の公式発表で確認するようにしてください。制度は年度によって変更される可能性があるため、「去年こうだったから今年も同じ」と思い込まないことも大切です。
公立と私立、内申点の扱いはこんなに違う
様式の話と並んで保護者を悩ませるのが、「結局、内申点はどれくらい重視されるのか」という点です。公立高校と私立高校では、仕組みがかなり異なります。
公立高校の入試は、都道府県ごとに定められたルールに沿って「学力検査の点数」と「調査書に基づく内申点」を一定の比率で合算し、合否を決めるのが基本です。比率や算出方法は自治体によって細かく異なり、学年ごとの重みづけが違う地域もあります。出欠の記録欄がなくなっても、各教科の評定(いわゆる内申点)そのものがなくなるわけではない点には注意が必要です。
一方、私立高校は学校ごとの裁量が大きく、内申点に出願基準を設けている学校もあれば、当日の学力検査や面接・作文を重視する学校もあります。「併願優遇」のように、一定の内申基準を満たすと合格が優遇される制度を使う場合は、内申点に加えて欠席日数や検定資格、部活動の実績などが加点要素として評価されることもあります。併願優遇の仕組みや、内申が基準に届かないときの個別相談の進め方については、以前まとめた私立高校の個別相談で内申が足りないと言われたら?合格の可能性を高める方法も参考にしてみてください。併願が「絶対に安全」ではないという点は私立高校の併願で落ちる確率は?合格への対策を徹底解説でも触れています。
つまり「公立は内申重視、私立は当日重視」と単純化できるものではなく、志望校ごとに評価の仕組みが違うというのが実情です。志望校が決まり始めたら、学校説明会や個別相談で「調査書のどの部分をどう見ているか」を具体的に聞いておくと、後から慌てずに済みます。
内申点が低くても逆転合格した家庭に共通する3つの行動
内申点に不安があると、「もう無理かもしれない」と気持ちが先に折れてしまうことがあります。ただ、オール3前後の内申点から偏差値60超の高校に合格した例や、内申に不安を抱えながらも志望校に通った例は実際に存在します。そうした家庭を見ていくと、いくつか共通する行動が見えてきます。
- 「内申点以外で補えるものは何か」を早めに洗い出していた――検定資格、部活動や委員会での実績、模試の偏差値の伸びなど、内申点とは別の評価材料を把握し、必要なら個別相談や面接でしっかり伝えていました。
- 子どもを追い詰める声かけを避け、今できることに集中させていた――「なんでもっと早く頑張らなかったの」ではなく、「今からできることは何か」を一緒に考える姿勢が、子ども自身の立て直しを後押ししていました。
- 学校や塾の先生と早いうちから具体的に相談していた――内申点と志望校の基準の差を漠然と気にするのではなく、「あと何点、何をすれば届くのか」を先生と一緒に数字で把握していました。
こうしたエピソードをもう少し詳しく知りたい方は【高校受験】逆転合格エピソード5選|E判定からでも夢は叶う!もあわせて読んでみてください。大事なのは、誰かの成功例をそのまま真似ることではなく、「うちの子に合った伸ばし方・補い方」を早めに探し始めることだと感じます。
不登校・欠席が多い子の調査書評価、知っておきたいポイント
今回の様式変更の中でも、不登校や長期欠席のあるお子さんを持つ保護者にとって特に関係が深いのが「出欠の記録」欄の扱いです。この欄が削除される地域では、欠席日数そのものが調査書に記載されなくなるため、「休みが多いから不利になるのでは」という心理的な負担は軽くなると考えられます。欠席の多さを理由に無理をして登校する、という選択をしなくて済みやすくなる点も、見逃せない変化です。
一方で、誤解しておきたくないのは「出欠欄がなくなったから何もしなくていい」わけではないという点です。各教科の評定(内申点)や当日の学力検査の重要性は変わりませんし、むしろ出席日数で評価されない分、学力面で見られる比重が増すという見方もあります。また、公立高校で出欠欄がなくなっても、私立高校は学校ごとの判断で出席状況を考慮することがあるため、志望校によって扱いが異なる点にも注意が必要です。
欠席日数と高校受験の関係や、欠席が多い場合に今からできる対策については欠席日数は高校受験に関係ある?内申書への影響と今からできる対策で詳しく整理しています。様式変更のニュースだけを見て一喜一憂するより、「うちの子の場合、評価の軸はどこに置かれるのか」を学校に確認しながら、できる対策を積み重ねていくのが現実的な進め方です。
まとめ:保護者が今すぐできる3つのアクション
調査書の様式変更は、地域差が大きく、情報も毎年更新されていくテーマです。不安なニュースを見かけたときほど、まずは次の3つから手をつけてみてください。
| アクション | 内容 |
|---|---|
| ①地域の最新情報を確認する | お住まいの都道府県の教育委員会サイトで「入学者選抜実施要項・実施大綱」を検索し、調査書の様式を確認する |
| ②学校に直接聞く | 中学校の進路指導の先生に、お子さんの学年から適用される調査書の様式変更の有無を確認する |
| ③志望校ごとの扱いを調べる | 公立・私立それぞれの志望校について、説明会や個別相談で調査書・内申点の評価方法を具体的に聞く |
制度変更の情報は、今後も自治体から随時更新されていきます。この記事の内容も含め、最終的な判断の前には必ず自治体・学校の最新発表をご確認ください。焦って結論を出すより、「今、確認すべきことは何か」を一つずつ潰していくほうが、結果的に親子ともに落ち着いて受験に向き合えるはずです。

